2019/03/16-ブログ-
《 2人だけの卒業式 》
福岡での華やかな卒業式。
私が、最後に2年間教えた子供たちの卒業式。
みんな笑顔でたまらなく素敵な卒業式でした。
私は、もちろん、みんなに会いたかったけど、でも、その中でも、どうしても会いたい男の子がいました。
マコト です。
マコトのことは、彼が4年生・5年生のときに、担任しました。
自分の気持ちをコントロールすることが苦手で…良くトラブルを起こしました。
私もたくさん悩みました。
でも、彼から、私はたくさんのことを学びました。
マコトのお母さんとも、続けた交換日記。5冊にもなりました。
そこには、毎日のマコトのいろんな事件や、お母さんの思い。そして、私のたくさんの思いが書かれていました。
時には、お母さんと衝突をし話し合い、時には、お母さんと抱き合って泣きました。
そのマコトの卒業する姿を見るのが楽しみでした。
でも
マコトは、卒業式にはいませんでした。
6年生になって、彼は、学校に行っていなかったのです。
担任の先生や学校の
「卒業式だけはおいで」という誘いにも、マコトは行きませんでした。
6年生。学校やクラスとうまく自分を出せなかったのです。
学校に、行けなかったのです。
私は、マコトに電話をしました。
「マコト。先生と2人だけの卒業式をやろう!」
マコトは、私が、福岡に戻ってきたこと。そして、私に会えることをとっても喜んでくれました。
『先生に会いたい。』
マコトはそう言ってくれました。
学校の卒業式が終わって、向かったのは、小さな喫茶店。
そこには、背広姿のマコトがいました。ちゃんと背広を着てきてくれたマコト…。その姿を見ただけで、胸がいっぱいでした。
2人だけの卒業式。
お客様は、お母さんひとり。
「マコトくん!」『はい!』
私は、自分で作った卒業証書を渡しました。
ニッコリと笑ったマコトの姿がありました。
卒業のお祝いに渡したのは、黄色の花束と白いノートとペン。
「マコト。このノートに、これからのあなたのストーリーを書いていくんだよ。」
白いノートの1ページ目に書いたのは、私の言葉。
「自分のことを信じて生きていくんだよ。マコトならできる!」
マコトは
『先生。辛くなったら、これ、見る』と言ってくれました。
そして
最後に、言った言葉。
それは…
「マコト。胸はって学校に行っておいで。そして、本物の卒業証書。もらっといで。」
『僕は、先生の卒業証書でいい…』
「マコト。しっかりと自分でケリつけといで。次のスタートのために。」
マコトは、じっと考えてました。
でも、顔をあげた時
『わかった。先生。行ってくる。卒業証書。自分の手で受け取ってくる』
そう言ってくれました。
お母さんは、泣いていました。
学校に向かうマコトとお母さん。
でも、途中で、マコトは、私をふりかえり…
『先生。ぼく、お金をためる。』
そして…
『お金をためて、東京に行く。先生に会いにいく。』
そう言ってくれました。
その言葉に、何も言えなかった。
何か言葉を言ったら、泣きだしそうだった。
おいで。
いつでもおいで。
マコトとの本当のスタートは、これから。
あなたがあなたらしい光を見つけるまで。
先生は、そばにいる。
学校に向かうマコトとお母さんの姿を見て、心からそう思った。
そして、私は
全国にいる「マコト」のために、子供たちの思いを、もっともっとたくさんの人達に、伝えていきたい!と、強く強く願った。
マコト。
先生は、あなたのために、今日もがんばる。だから、マコトもがんばるんだ。最後まで、見てあげれなくてごめんね。
先生は、先生でありながら、「先生」に苛立ちを覚え、先生でありながら、「学校」に苛立ちを覚えたよ。これから、何をしていかなければいけないのか、はっきりわかったんだよ。
この世の中にいるたくさんの「マコト」。私は、進んでいくからね。待っていて。