2019/03/22-ブログ-
11月に仙台で講演をしたとき、
1人の少女が、お母さんに連れられて、楽屋にやってきた。
「どやさんの所の塾に通っている心晴(こはる)と言います。どやさんから、まゆみ先生の話を聞くのが、宿題だ!と言われて、来ました。」
と、言った。
そのときの心晴ちゃんは、私の目には、たくさんの鎧をつけているように思えた。
「私…中学校に行けてないんです。」
『そうなんだね。』
『わかった。今日の話は、心晴ちゃんに向けてするね。』
☆。.:*・゜
講演会が終わり、私が、本のサインをしていたら、心晴ちゃんが、私の目の前にやってきた。
手に本を持っているわけでもなく…
ただ、呆然と立っていた。
何も言わず、ただじっと私の顔を見ていた。
その心晴ちゃんに…
『人と比べなくていい。自分の道を歩いて行くんだよ。』と、声をかけた。
どうして、その言葉を選んだのかはわからない。ただ、彼女の顔を見ていたら、その言葉が降りてきた。
すると、心晴ちゃんの目に、みるみるうちに…涙が溜まっていった。
そして、思いっきり
「信じられる大人なんて、おらんかったーーー!!!」
そう叫んだ。
そして、彼女は、ウワーーーーっと、泣いた。
時間が止まったようになった。
私も、周りにいた大人たちも、その彼女の想いが伝わってきて、その想いだけが、ズンと伝わってきて、みんな…動けなくなった。言葉も消えた。
彼女の泣き声だけが、ホールに響いていた。
次の日。
彼女は、朝早い「モーニングセミナー」まで来てくれた。
そのときの彼女の顔は、何かが変わっていた。
モーニングセミナーが終わり、感想を言うところで、15歳の彼女は立った。
そして
「私は、ずっと大人を信じられなかった。でも、どやさんを知り、そして、まゆみ先生の話を聞いて…初めて、大人を信じてみようと思った。」
そして
「夢なんてなかった私に、夢が出来ました。
それは、私も、まゆみ先生みたいに、自分の経験を語っていきたい。」と、言ってくれたのだ。
会場中から、たくさんの拍手がわいた。
それから、4ヶ月。
仙台宮城野倫理法人会のみなさんは、この15歳の心晴ちゃんを、モーニングセミナーの講師として、抜擢して下さったのだ。
それを、知った時、心が震えた。
嬉しかった。
1人の少女の夢を、大切にすくってくれた仙台宮城野倫理法人会のみなさんに、心から感謝した。
そして、今日。
その心晴ちゃんが、生まれて初めて、講演をする日。
私は、前日から仙台に入り、心晴ちゃんに、バレないように、どやさんと隠れていた。
会場で、私を見つけた心晴ちゃんは、「まゆみ先生!」と、走ってきてくれた。
心晴ちゃんの話す前は、自分の講演より、ドキドキした。ドキドキしてたまらなかった。
でも、
でも、
彼女は、堂々としていた。
足を地面にしっかりと踏ん張り、自分が経験してきたこと。自分の想いを、私たちにぶつけた。
あんなにたくさんの大人たちに、「子供たちのことを信じてほしい!」と、訴えた。
会場中、泣いていた。
本当にすごい講演会だった。
心晴ちゃんは、終わった時
「スッキリした…」と言った。
たくさんたくさん言いたいことが、たまってたんだね。
たくさんたくさん伝えたいことがあったんだね。
たくさんたくさん信じてほしかったんだね。
よく、勇気を出して、自分の言葉で語ったね。
厚い厚い鎧を、よく1枚ずつ脱いで、素の自分を見せていったね。
私には、彼女がまぶしかった。
私が、渡した光が、心晴ちゃんの手に渡り、今度は、心晴ちゃんが、たくさんの人達に、光を与えていくことだろう。
光をしっかりと受け取ってくれてありがとう。
☆。.:*・゜
阿部 心晴 (あべ こはる) 15歳
テーマ「心晴日和~大きな壁を乗り越えた先に~」